住宅改修

高齢者や身体障害者にとっての快適な住まいとは、何よりもまず「安全」であることです。
「お風呂場は滑りそうで怖い」「玄関ではつまずきそうで外出がおっくうだ」などの不安感を取り去り安心して暮らせる住環境をつくることです。

玄関周り

玄関回りが快適なら、高齢者も外出したくなるものです。
安全に外出するためには、段差の解消や手すり・滑り止めの設置、無理のない姿勢で靴の着脱や出し入れができる工夫が必要です。
玄関はその家の顔でもありますから、すっきりと整った設計を。

玄関ホール
  • ホールの照明は明るくし、段差があるところには足元灯を設けます。スイッチは分かりやすいようにパイロットランプ付のワイドスイッチに。
  • 床材は滑りにくい素材を使い、杖や靴が引っかからないように、凹凸の無いようにしてください。
  • 上がりかまちは床との段差が18cm以下になるように。できない場合は1段の高さが18cm以下の2段式にしてください。車いすの場合はスロープや車いす昇降機を利用してください。
玄関設備など
  • 上がりかまちに縦の手すりを付けると、靴を履くときに便利です。
  • ベンチを置いておくと、靴の脱着がラクになります。また下部が収納スペースになった作りつけのベンチを設けておくと便利です。
  • 下駄箱は出し入れがラクな高さにし、開閉がラクな大きな取っ手を付けます。
  • つまずきの原因になるじゅうたんやスリッパなどは置かないようにしてください。

階段・廊下

階段は転倒など事故の起こりやすい場所。
高齢者の生活空間は、できるだけ階段を利用しなくてもすむ場所にしましょう。
やむを得ない場合は、手すりなどの介助備品を設置し、滑らない靴下を履くなど、常に注意を促すことなどを心がけましょう。

手すり
  • 手すりは廊下から階段へ連続して設置します。
  • 手すりは階段の両側に付けるのが理想的です。
    片面だけの場合は、踏み面の広い側、または降りる時の利き腕側が安全です。
  • 高さは75~85cm
  • が基本ですが、背の高さによって調整します。
階段
  • 床材は滑りにくいスリップレス仕上げにしてください。また、吸着マットなどを利用するのもいいでしょう。段板の先端にはゴム製の滑り止めを貼り付けます。
  • 段差(蹴上)は18㎝以下にします。踏み面は24~30cm位にして、勾配を緩やかにしましょう。
  • 鼻の出は2cm以下にして、足の引っかかりを抑えるために、化粧額縁を踏込み板として設置します。
  • 直線階段であっても、途中に踊り場を設け、万が一の転倒に備えてください。
  • 階段の照明は、1ヶ所だけだと自分の陰ができて危険なので、2ヶ所以上に設置。足元灯も2ヶ所は設置しましょう。
廊下
  • 床材はすべりにくく、歩きやすいものにします。
  • 車いすの使用に備えて幅はなるべく80cm以上を確保しましょう。
  • 手すりは今必要なくても、将来のために必要に応じて設置できるように、腰板を貼ったり壁の下地を補強しておくとよいでしょう。
  • 部屋の敷居との段差を解消するようにしてください。廊下にも足元灯を設置し、注意を促しましょう。

寝室

生活の中心は寝室です。特に身体の機能が低下してくると、リハビリから睡眠、食事、排泄などこの部屋で全てを行うことになります。
ですから、1階のトイレや浴室に近い場所で、日当たりと風通しの良い部屋を確保したいものです。

設備機器
  • 緊急時に備えて、枕元の手の届く場所にインターホンやブザーをつけます。
  • 夜間の移動のために常夜灯やフットライト(足元灯)を設置しましょう。
  • 暖房は部屋全体の保温が可能な設備にしてください。
  • 部屋の照明や冷暖房機器などのスイッチは、手元で操作できるようにリモコン式のものにします。
家具配置
  • 身体状況にあわせて、ベッドやイスの位置を決定します。
  • ベッドのまわりは車いすでも移動できる広さにします。
  • ベッドは直接日の当たらない位置にしてください。
  • スロープの設置や床の高さの変更などによって、廊下または隣の部屋との段差をなくします。
  • つまずきにくくすべりにくい仕上げにして、床暖房で冬も暖かくします。
補助手すり
  • ベッドから出入口までなるべく連続させるように設けます。
  • ベッド横には立上がり補助手すりを設けます。
出入口
  • 多用する出入口のため引き戸とし、自動でしまれば便利です。
  • 握り手・引き手は、握りやすい形状・使いやすい高さにします。
  • 緊急時に備えて出入口とは別に直接外部に避難できる出入口を一ヶ所設け避難方向を2方向確保します。
  • 室内の温度を保つため、扉のすき間をなくします。

トイレ

高齢になるとともにトイレの回数が増え、服の上げ下げ、しゃがむ立つ、後始末をするなど動作のひとつひとつが負担になってきます。
しかし、排泄に対してはプライバシーや人の尊厳に関わることで、できる限り自分自身で済ませたいものです。

設備機器
  • 便器は立ち上がりのラクな洋式にしましょう。
  • 半身マヒやリウマチなどで手が不自由になっているときは、洗浄乾燥暖房便座を設置すると、あと始末が便利です。
  • 体温の低下防止に暖房施設があればよいでしょう。
  • 緊急時に備えて、インターホンや非常ブザーなどをつけましょう。
出入口扉
  • ドアはできるだけ開口の広い引き戸にし、開き戸の場合は外開きにします。
  • 握り手・引戸は、操作しやすいものを使いやすい高さにします。
    明り窓は、内部の見えないアクリルにすると安全です。
  • 鍵は緊急の場合、外からも開けることのできるものにします。
  • 床は平坦にし、建具下枠などの段差も設けない。
介護スペース
  • 洗面所が隣接する場合、壁を取ることで介護スペースを確保します。
    歩行器や車いすなどを使用する場合、介護スペースが異なります。専門家による指導を受けることが大切です。
  • 耐久性・耐水性があり、掃除が簡単で滑りにくい材質にします。
    段差がある場合スノコを用いて段差を解消します。
手すり
  • 出入り口と便器の両側に手すりをつけます。特に利き手側にはL字型のものを。
  • 横移動用の手すりは杖や歩行器の高さと同じにします

 

浴室

体を清潔に保ちストレスを解消し、心身ともにリラックスできる入浴は、高齢者にとって楽しみのひとつです。
しかし、浴室は滑りやすく、バランスを崩しやすい動作をとることが多い場所ですので、事故に対する万全の対策が必要です。

出入口
  • ドアはできるだけ開口の広い引き戸か折り戸にし、開き戸は避ける。
  • 出入口の段差をなくすために、木製のスノコを敷き脱衣所との境に排水孔をつくるとよいでしょう。
  • 鍵は緊急の場合、浴室の外からも開けられるものにします。
  • ガラスはアクリルに変えると安全です。
手すり
  • 手すりは、浴室に入るとき、浴槽に出入りするとき、浴槽内でそれぞれつかまれるよう取り付けましょう。
設備機器
  • 体温の低下防止に暖房施設があればよいでしょう。
  • 緊急時に備えて、非常ブザーなどの通報設備をつけましょう。
  • 浴槽の脇に浴槽と同じ高さに合わせた腰掛けスペースをつくるようにしてください。
  • 水栓器具は操作や湯温調節がラクなものを選んでください。